射精無快感症とは
射精無快感症とは、その名の通り射精時に快感を得られない状態をいいます。
残念ながらネット上にはあまりまとまった情報がありませんが、私の見たかぎりでは、こちらのサイトの記述がもっともわかりやすく整理されています。
他にも射精無快感症をとりあげているサイトはありますが、ほとんどがここのパクリと言っていいでしょう。それだけ情報の少ない症状なのです。
先天的射精無快感症と後天的射精無快感症
射精無快感症には先天性のものと後天性のものがあるという記述をネットでよく見ますが、その根拠はというと、上記サイトの主が生まれつき射精無快感症であるということだけでしかないようです。しかもサイト主ご自身は、先天的、後天的という分類があるともないとも語っていません。結局、医学的に分類されるべきものかどうかはよくわからないですね。
上記サイトの主は、射精時だけでなく性器への刺激によっても快感が得られず、またどういうわけか意識して射精することができるといいます。
しかしこうした症状が一般的なものかどうかはわかりません。この人物の例のみをもって「先天性の場合がある」「先天性はこうである」と断定的に述べるべきではないでしょう。
一方「後天性」については、ストレス、疲労、薬の副作用といったものがよく原因として挙げられています。しかし改善に向けての治療法は、どうやら確立されていないようです。
一時的に快感が得られなくなったがすぐに治ったという人もいれば、長年治らないままという人もいるようです。
症状-私の場合
射精無快感症の症状は個人差が大きいように思います。ここでは私の症状がどのようなものなのかを、性の目覚めのころからたどる形でご紹介します。
先天か後天か
オーガズムの経験は、あるといえばあります。ないといえばないです。要するによくわかりません。先天後天の分類が仮にあるとしても、どちらともいえません。(でも「意識して射精」はむりです)
私の「オーガズムっぽい体験」については以下をお読みください。
精通の記憶
私の精通は夢精でした。しかし射精の瞬間の記憶がはっきりしません。よく覚えているのは、目がさめるとサオから亀頭にかけてこの世のものと思えぬ心地よい痺れにつつまれ、快感が脈うっていたことです。
精通したあとも、すぐにマスターベーションをするようにはなりませんでした。ためしにいじってみても気もちよくなかったからです。その後も何度か(月1回程度でしょうか)夢精しましたが、どの程度の快感が得られていたかはよく覚えていません。夢精する日を待ちわびていたような気もするので、毎回ある程度の快感はあったのでしょう。
ところで、これがオーガズムだったのではないかという夢精が1度だけありました。射精する少し前に、下腹部にブワーッとなにか熱いような冷たいような液体が流れこんでくるような感覚に襲われ、それがとても気もちよかったのです。このブワーッという強烈な感覚は、以後今にいたるまで経験していません。
(下腹部に流れこんできたのは、おそらく血液だと思います。そして血液の流れは性的快感と重要な関係にあるのではないかと気づいたのは、それから何年もあとのことでした。)
はじめてのマスターベーション
マスターベーションをおぼえたのは、はじめて夢精した翌年だったと思います。快感が得られる刺激のしかたをさがし、何日かの試行錯誤の末に射精に至りました。刺激しはじめてから数分後、あるいは十数分後だったでしょうか、体内でなんともいえない圧迫感が盛り上がり、精液が流れ出ました。
ところがそのとき、快感がまったくありませんでした。自慰の最中も、すごく気もちよかったわけではありません。わずかな快感をたぐりよせ、やっと射精できたという感じです。結果は、ただ精液が流れ出ただけです。
回数を重ねれば変わってくるのかとも考えましたが、その後状況はむしろ悪くなっていきます。
自ら症状を悪化させる
私は快感を得にくい体質だったようです。(体質でなく体調というべきかもしれません。くわしくは後述します。)
マスターベーションでは射精に至る途上での快感を大事にすべきだと気づいたのは、ずっと後のことでした。
当時の私は「射精ありき」という考えで、わずかな快感にもどかしさを感じながら、股間の力加減というのでしょうか、どうすれば射精できるかという間違った工夫を重ねた結果、ごく短時間で射精するくせを体につけてしまいました。
その結果、私はマスターベーションで快感が得られないばかりか、射精前の不思議な圧迫感すら感じなくなってしまったのです。そのうえ夢精でさえも快感を得られなくなり、また、とても夢精しやすい体質になってしまいました。(修学旅行のときなどは冷汗ものでした)
射精にこだわらずに、どう刺激すれば気もちよくなれるかをじっくり模索していたら、もしかしたら長年にわたる悩みを持たずにすんでいたかもしれません。
気もちよくないのになぜ射精する?
射精無快感症でも、刺激を与えている最中は気もちよくて、射精時だけ快感がないという人もいるようです。しかし私の症状は、最中も射精時も快感がない(小さい)というものです。快感が盛り上がらないのになぜ射精するのか不思議に感じる人もいることでしょう。
穴のあきやすい水風船を想像してみてください。水を入れても一定以上はふくらみませんね。そしていずれは破裂しますが、破裂の勢いは小さいはずです。私の射精がそれです。「快感のキャパシティが小さい」というのが私の実感に近いです。射精時だけ快感がないという人も、もしかしたら私よりもほんの少しキャパシティが大きいのにすぎないのかもしれません。
10年以上も前に見つけた性の悩み相談サイトで、印象に残っているものをご紹介します。
この相談者は、かつては快感が得られていたという点では私とは違いますが、射精時の感覚は私とほぼ同じのようです。その個所を引用します。
強い刺激を加えることでほんの少し心地よさを感じ、それが少し強まったと思うとすぐに射精して終わりです。射精時にほんのわずかの快感を感じますが、以前感じた恍惚感とはほど遠く、射精した後も虚しさを感じるだけです。
なにも感じないわけではない
性器を刺激しても気持ちよくないといっても、何も感じないということではありません。体のツボを押したときの「痛気もちいい」という感覚に近いですね。数年に1回くらいは、刺激をつづけるうちに段々気もちよくなってくることもありました。(オーガズムには至りませんが)
射精無快感症でない人でも、その日の体調などによって、同じように刺激しても気もちいいときもあれば、いまひとつのときもあるはずです。私の場合はその「いまひとつ」未満の状態が慢性化していると思っていただければ間違いないと思います。
いつのまにか射精する?
射精無快感症でない人には、快感のない射精がどんなものか想像しにくいのは当然ですね。そのためか、射精したことに気づかないことがあるという珍説がネット上に見られます。
私にかぎっていえば、それはありえません。排尿の感覚ともまたちがいますが、射精直前の感覚も、射精の瞬間の感覚もあります。快とも不快ともつかない、しかしはっきりしたものです。
賢者タイムがない
無反応期とも呼ばれていますが、俗にいう賢者タイムというものを私は実感したことがありません。射精後も憂鬱にもなりませんし眠くもなりません。快感のなさへの落胆で少々なさけない気分にはなりますが。
無反応期はプロラクチンという脳内物質がもたらすそうですが、やはりこれはオーガズムとセットなのでしょうか。
射精無快感症はどうつらい?
射精無快感症のつらさは「決して満たされることがない」という点にあります。365日満たされません。
健康な人ならば、おいしいものをお腹いっぱい食べたら満足します。たっぷり睡眠をとれば心身がすっきりします。空腹と満腹、眠気と目ざめのくり返しが生活のメリハリとなります。
性欲も同じです。欲望をためては放出してすっきりする。射精無快感症を抱えている私は、マスターベーションによってすら、そのメリハリを享受できません。欲求不満歴30年です。
オーガズムが性的満足のすべてとはいいませんが、生理的な充足が得られないことは、しばしば心を陰鬱にします。
射精無快感症による劣等感
ここでふたたび、上で紹介した相談サイトの記事をご紹介します。
快感の改善からの引用です。
普通の男性なら誰もが当たり前のこととして享受している快感を得られないというのは情けない
男性の性的な悩みは、恋人や配偶者との性的な交わりにかかわるものがキーになるのが常ですが、射精無快感症である私はちがいます。「マスターベーションによってすら快感が得られないこと」が劣等感になっているのです。